初めて桂文我の生落語を聴く

kennakasho

2013年01月13日 14:22

 桂枝雀の弟子で、脂が乗り切ろうかという正統派の噺家である。
 枝雀の突き詰めるというか研究熱心なところを引き継いでいるとの認識を
メディア情報で持っていたが、ライブは初めて聴くので楽しみであった。
場所は京都府立文化芸術会館で独演会が桂鯛蔵、桂米平を連れて催され、
会場は満員で人気の定着度が窺い知れた。
桂鯛蔵の「道具屋」に続いて文我一席目は「冬の遊び」と言う夏の噺、早い話
お茶屋遊びの我慢比べ、綿入れを着重ね、火鉢を入れ、鍋物の料理を食べ、
懐炉を腹と背中にぶち込まれた太鼓持ちは辛抱たまらんと庭へ飛び降り、
井戸の水をかぶり、「寒行してます」がオチ。
 二席目は落語の代わりに演題「落語の歴史を語る」を文我がスーツを着て講演台を前に
講演するという独演会の常識を破るものであったが、落語好きには興味を引き、
笑いもある有意義なものであった。
 中入り後、桂米平の立体紙芝居に次いで文我三席目は「不動坊」、不動坊が
亡くなり未亡人の再婚相手に選ばれた長屋の利吉が、長屋仲間の妬みを買い、
不動坊の幽霊に化け、屋根からつり降ろされた男に脅かされるが、逆に成仏しろと
怯まず、正体を見破り「頼りない奴め」、「さっきまで宙づりでした」。
題名の不動坊が話の中に出てこないという珍しい噺。
 文我の噺は全体にさわやかで聞き手の想像力を無理なく引き出してくれるので
聴きやすい噺家のように感じた。
 


 


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